債務整理後はローンが組めない?債務整理がローンに与える影響

借金の返済が苦しくて債務整理をしたものの、整理後に住宅ローン、自動車ローンを組むことができるのか心配という方もいらっしゃると思います。 

債務整理後はしばらくクレジット会社などの金融機関の利用はできませんが、信用情報の一定期間が回復すればローンを組むことができます。

債務整理によるローンの影響について、また、審査を通りやすくする方法や債務整理後の注意点や登録期間について解説します。

債務整理後のローンへの影響について

債務整理を行った後、「子供が生まれるから新居を持ちたい」「車で通勤したい」など、新たな願望が出てくることもあるかもしれません。

ローンが通れば自分の夢を叶えられますが、債務整理で返済を続けているうちにローンが増えると、支払いが苦しくなって滞納してしまう可能性があります。

債務整理をすると、信用情報機関(ブラックリスト)に事故情報として登録され審査から外れてしまうので、期間中はローンを組むことができません。

  • 事故情報が外れないと審査に通るのは難しい
  • 債務整理後にローンを組んでもお互い(債権者・ローン申し出者)が不利益になる

信用情報機関の登録が外れたらローンを組むことは可能です。

しかし、当然ながら過去にブラックリストに載ったという情報が残っているので「審査が通りにくい」という可能性は高くなります。

住宅ローンは

  • 安定した雇用形態で働いているか?
  • 安定収入があるか?
  • 勤続年数は短くないか?
  • 税金を滞納せずちゃんと支払っているか??
  • 健康状態は良好か?

そもそも審査が厳しいため、こういったところをクリアしていないと審査に通らない可能性があります。

債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されるので、抹消するまでは新たに住宅ローンを組もうと思っても通りにくくなります。

住宅ローンを既に組んでいる場合、債務整理が与える影響は?

では、すでに持ち家がある場合、債務整理の種類によって住宅ローンに与える影響に違いがあるのか見ていきたいと思います。

任意整理
任意整理は、自身で整理する借金(対象に含める債権者)を選ぶことができます。

完済していない住宅ローンを対象から外し、残りの債権者のみを対象にすれば、今まで通り住宅ローンを返済していくことで、持ち家を残したまま任意整理ができます。

個人再生
個人再生は、「住宅ローン特則」という制度があり、住宅ローンが残っている持ち家を残したまま個人再生ができます。

特則を利用するにはいくつかの条件があり、全ての人が住宅を残して個人再生ができるできるわけではありません。

自己破産
自己破産は任意整理や個人再生もできず、財産を処分する代わりに借金の返済を全額免除してもらう手続きです。

財産となる住宅ローンが残った持ち家も処分の対象になります。住宅を処分することで債権者への返済に充てるためです。

債務整理の種類によって住宅ローンを残せる場合と残せない場合があり、個人再生については細かく条件が定められているので注意が必要です。

他にも、「任意売却」といって、債権者である金融機関の合意を得た上で住宅を売却し、その売却代金を住宅ローンの返済に充てるという方法もあります。

売却代金が住宅ローンの残債より多ければ、住宅ローンは完済、少ない場合は、任意売却後も残った住宅ローンの返済を続けなければなりません。

債務整理による信用情報の登録から抹消までの期間

債務整理後は、すぐにローンを組むことができません。

信用情報機関への登録から抹消までは債務整理の種類によってそれぞれ期間が違います。

信用情報機関は、クレジットカードやローンなどの契約内容、返済、支払い状況、利用残高などの情報が記録されていて、国内には主に3つの機関が存在します。

信用情報機関 種類
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 銀行・信用金庫
CIC(指定信用情報機関) クレジットカード・信販会社
JICC(日本信用情報機構) 消費者金融

上記の信用情報機関に開示申請をすると、自身の履歴を確認することができます。

債務整理の種類による登録期間

債務整理後、信用情報機関に登録される期間は債務整理の種類によって違います。

個人再生や自己破産は、任意整理と比べても借金の減額が高く、また、政府の機関紙である「官報」に掲載されます。

とくに、銀行系のKSC(全国銀行個人信用情報センター)は、官報の掲載期間が10年なので個人再生や自己破産を行うとローンが組みにくくなります。

KSC CIC JICC
任意整理 5年 5年 5年
個人再生 10年 5年 5年
自己破産 10年 5年 5年

債務整理後の借り入れと注意点について

債務整理後、ブラックリストに登録されている期間は借り入れが難しいですが、金融機関の判断次第では「5年経たないのに借り入れができた」というケースがあります。

特に収入状況や生活能力などに問題がなく、金融機関が総合的に判断した場合などです。

反対に、ブラックリスト期間を経過しても審査に通らないのは、「無職で収入がない」「現在も他社からの借り入れが残っている」などに該当する場合などであり、条件を満たしていないので審査に通過できません。

収入に問題がなくても審査を通りやすくするためには、いくつかの注意すべきポイントがあります。

債務整理をした金融機関からは借り入れが難しい

信用情報機関の事故登録は5~10年で抹消されますが、一度債務整理を行った金融機関では事故情報のデータが残っています…。

もちろん、同グループの金融機関にも情報が共有されています。

なので再度、借り入れの申込をしても審査に通る可能性は低くなります。

信用情報の回復まで新たな事故情報を増やさない

信用情報の回復期間中は新たな事故情報を増やすと審査が厳しくなります。

回復期間中に支払いが延滞すると、信用情報に悪い履歴が残ってしまいます。

悪い履歴がつくタイミングは、クレジットカードや携帯電話では61日以上の延滞、3ヶ月連続の返済遅れでブラックリスト入りになります。

家賃や光熱費なども滞納しないように注意しましょう。

複数のローン審査に申し込まない

複数のローン申込が審査の対象となりませんが、複数あると以下のようなマイナスイメージを与えてしまう可能性があり、審査が通りにくくなります。

  • 金融機関の開示履歴がたくさんあると審査に落ち続けていると判断される
  • 金銭的に余裕がないと判断される
  • 複数社の借入希望額の合算と年収が見合っていない

具体的な審査基準は各金融機関で違うため、上記全てが当てはまるという訳ではありません。

ヤミ金業者の借り入れ広告に注意する

債務整理をした後にお金を貸してくれる金融機関はまずありません。金融機関がお金を貸す場合は信用情報をもとに審査を行い、回復までに5~10年かかります。

「債務整理後も借り入れOK」と謳っている広告は、独自の審査を行った闇金業者の可能性があります。

安易に手を出してしまうと、高利息な金額での請求や、取り立てが起こることも考えられます。

債務整理後、すぐに借り入れをするのはおすすめできません。

住宅ローンの審査を通りやすくする方法

住宅ローンの申込をすると、金融機関側は申込者の信用情報を照会します。

住宅ローンの審査は、「事前審査」と「本審査」という段階を経て、融資が可能かを判断します。一般的な審査基準は以下になります。

  • 年収
  • 職業
  • 年齢
  • 勤続年数
  • 事故登録の掲載有無
住宅ローンは長期的な返済が続くため、年齢的にもリスクがなく、支払い能力や勤続年数なども細かくチェックされます。

住宅ローンの審査を通りやすくするためには、金融機関にどれだけ信用を与えられるかがポイント!住宅購入に向けての頭金や自己資金をしっかり貯めておくことも大切です。

計画的に返済できると判断してもらえれば、審査に通る可能性が高くなるはずです。

借り入れする前に信用情報機関に確認する

債務整理のブラックリスト期間を経た後、信用情報機関に事故情報の記録が残っていないか確認しましょう。

記録が残ったままだとその時点で審査から外れ、審査に落ちた履歴を残すことになってしまい、再度ローンを組む時に通りにくくなってしまいます。

開示請求は、各信用情報機関によって異なりますが、携帯電話、郵送、ネットからも申し込みができます。(手数料がかかります)

  • CIC…インターネット、郵送、窓口(結果は即時、郵送の場合のみ請求から10日程度で届く)
  • JIOC…スマホ、郵送、窓口(結果は1週間~10日程度で届く)
  • KSC…郵送のみ(結果は1週間~10日程度で届く)

団体信用生命保険(団信)に加入する

団体信用生命保険とは、住宅ローン返済中の契約者に万が一の不測事態があった場合に、残りの住宅ローンが弁済される制度です。

ローンを組む際に、こちらに加入することが必須条件になっている場合は多いです。

必須条件になっていない場合も、団体信用生命保険に加入しておくことで、審査に通りやすくなる可能性が。

健康状態に不安があると加入できません。健康状態を万全にローン審査に臨みましょう。

同グループの金融機関から借り入れはしない

債務整理をした金融機関はもとより、同グループの金融機関でも借り入れは難しい、と考えておきましょう。

信用情報の登録が抹消されても、同グループの金融機関では社内の情報として自己記録を作成し、長期間残っていることがあります。

消費者金融の銀行グループは審査に通らない可能性があります。

消費者金融 銀行
アイフル なし
アコム 三菱UFJ銀行
モビット SMBCグループ
プロミス SMBCグループ
ノーローン 新生銀行

計画的な返済が可能!夫(妻)の収入のみで借り入れOKの「フラット35」

フラット35は、「銀行」と「住宅金融支援機構」が共同で提供している住宅ローンです。民間の金融機関では、審査が通らないと判断された場合にフラット35の借り入れを勧められることがあります。

フラット35の特徴は、最大35年間の長期固定金利なので、計画的な返済が可能です。メリットとデメリットについては以下を参考にしてください。

【メリット】

  • 勤続年数が短くても(1年未満)借り入れがが可能
  • 高齢でも親子リレー返済で申し込みが可能
  • 妻(産休中・育休中)でも借り入れが可能
  • 保証人不要、繰り上げ返済手数料が無料

【デメリット】

  • 変動金利と比べると適用金利が高め
  • 返済時に金利が下がっても適用金利のため変更できない
  • 団体信用生命保険に加入すると上乗せ金利が必要

複数の人がそれぞれ契約できる「ペアローン」「親子リレーローン」

1つの住宅購入の際、夫婦など複数の人が各々住宅ローンを契約、お互いに保証人になって借り入れをする「ペアローン」という方法もあります。

また、親や子どちらかの収入だけだどローンが組めない、でも親子の収入を合わせて借り入れする「親子リレーローン」も一つの選択肢です。

共同名義となりますが、返済能力があると金融機関に認識されやすく、審査に通りやすくなる場合もあります。

債務整理後のローン、ローン中の債務整理は専門家に相談がおすすめ!

債務整理を行った後、5~10年はローンを組むことができません。

特に住宅ローンの審査は厳しいため、信用情報回復期間中にきちんと返済する姿勢や自己資金を貯める努力など、収入状況においてもどれだけ金融機関に信用を与えられるかがカギとなってきます。

もし、5~10年後にちゃんとローンを組める状況になれているか不安で、債務整理をするかどうか迷っている場合は、弁護士や司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。

また、既に住宅ローンを返済中で借金問題に困っている…という場合も、あなたに最適な方法を専門家であればきっと導き出してくれるはずです。

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